![]() 日本赤ちゃん学会第14回学術集会 |

大会長からのご挨拶
日本赤ちゃん学会第14回学術集会 ご挨拶
日本赤ちゃん学会第14回学術集会は、日本女子大学人間社会学部心理学科にて開催させていただくことになりました。
本大会のテーマは、「環境への適応、現場への適用」です。赤ちゃんという存在は、皆、生まれ出る環境へと適応していかねばならない存在です。それは定型的な発達をたどる赤ちゃんも非定型的な発達をたどる赤ちゃんも同じことでしょう。いずれも懸命に生きていこうとする結果として環境への適応があります。
この「環境への適応」ということを考えたく本大会ではシンポジウムと公開講演会を企画しております。シンポジウムでは、脳の発達と可塑性を考えるため早稲田大学の杉田陽一先生をはじめとする複数のパネリストによる発表と討論を企画しております。また公開シンポジウムでは、チンパンジーの研究に長年取り組みその親子の関係にも詳しい京都大学霊長類研究所の松沢哲郎先生にご講演をお願いしております。図らずとも両企画は発達と進化をキーワードとする企画となっております。
生まれ出た赤ちゃんが環境を生き抜くために適応していこうとする姿は、ある生物が環境の中で生存した結果として1つの種が誕生していく過程と重ね合わせることができるかもしれません。個体発生といい系統発生といいそれは1つの発生=genesisであるわけです。本大会のアカデミックな側面として、この「適応」とは何か、ということを考えていく機会にしていただければ大会運営委員としてありがたいと存じます。
ただし、赤ちゃん学会は単なる基礎的な学術研究会にとどまるものではありません。「赤ちゃん学」という1つのdiscipline=研究領域とは、病院、学校、保育園、幼稚園、療育施設といった「現場」に適用されsurviveすることで、はじめてその1つのサイクルが完結するものと信じております。学会の構成メンバーである保育士さん、看護師さん、心理士さんたちを含めた現場の方々の感覚こそが、赤ちゃん学会の方向性を決めてきたことも間違いないことかと考えます。本大会ではこの点も強調すべく、「現場への適用」というテーマもあわせて設定させていただきました。基礎と臨床、あるいは実験室と現場といった双方の両輪をもって、本大会が実りあるものとなることを希望しつつ、そのお手伝いに専心したいと存じます。
日本赤ちゃん学会第14回学術集会
大会長 金沢 創