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 日本赤ちゃん学会未来を育む赤ちゃん研究
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 シンポジウム2

 3歳児神話を検証する2〜育児の現場から〜

白梅学園短期大学教授 鈴木 佐喜子

7. 今の子育てで大切なこと−−時間的・精神的ゆとりと子育てをめぐる豊かな人間関係−−

 最後に、今の子育てで何が大切なのかということを申しあげます。私がいつも紹介するスウェーデンの答申がありますが、その中では次のようなことが述べられています。「よい親として機能するためには、親の役割に喜びを見いだすことが必要」であり、「親の喜びや満足は時間がないとか、精神的に圧迫されるとか、責任の重さにおしつぶされるように感じる時には、容易には発達させることができない。人は分かち合えるような人々を必要とする」(スウェーデン家族扶助審議会答申「幼児のための保育所」1982年、『世界の幼児教育4 北欧・スイス』、日本らいぶらり)とあります。日本の社会はまさに親たちの子育ての喜びを阻害している社会であると思います。だからこそ、多くの子育て中の親たち、特に母親が苛立ちや不安を抱え、苦しんでいると言えましょう。先ほど述べた子育てが辛いと訴える母親に、母親の役割は・・といくら説いても、かえって自分を責めてますます落ち込み、その鬱憤が子どもに向かってしまうかもしれません。また、働く母親では、今述べましたように、時間的にギリギリのなかで、肉体的にも精神的にも疲れた中で子育てをしています。ですから、この時間的・精神的ゆとりと子育てをめぐる豊かな人間関係を日本の社会全体に作りだすことこそ、今の母親や父親、そして子どもにとって必要なことだと考えます。

 そのためには、まず労働条件を改善して、父母ともに仕事と子育てが両立可能な社会、男も女も「仕事も子育ても」できる社会にしていくことが求められていると考えます。労働条件が改善されれば、父親も母親も一緒になって、ゆとりをもって子どもを育てられるようになり、そのことが、夫婦が共同して築く新しい家庭や新しい、親子関係をつくり出していくことにつながっていくと思います。

 もう一つは父母に対する子育て支援です。日本の保育のなかに「共(とも)育て」という言葉があります。これは、保育園の保育者と親が一緒に子どもを育てていくという考え方です。よく保育園に子どもを預けることは「育児放棄だ」とか「他人に子育てを任せる」と言われることがあります。確かに、「育児放棄」と見られるような事実がない訳ではありません。しかし、この「保育者と親が一緒に子どもを育てていく」ことを大切にし、広げていくことが重要であり、そのなかで親たちも子育ての喜びを育み、親としても成長していくことができるのではないかと考えています。

 また、それと同時に地域で子育てをしている母親と子どもにとっても子育て支援の場が大事になってくると思います。母親と子どもたちが、集まり、交流し、親も子も友だちを作ったり、育児の悩みを相談したり、支え合う場、そういう子育て支援の場、あるいは保育の場を作り出すことも緊急の課題になってきていると思います。そのなかで、親たちは子育ての喜びを育み、親としても成長していくことができます。また、地域での親同士のつながりや専門家のネットワークが新しい地域の教育力を作りだしていくことにも繋がっていくのではないかと思います。

 以上です。ありがとうございました。

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