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 日本赤ちゃん学会未来を育む赤ちゃん研究
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 第1回学術集会 シンポジウム企画趣旨・講演サマリー

 平成13年4月21日

9:30〜12:00

 シンポジウム1 「3歳児神話を検証する?-基礎医学の立場から-」

 従来、実証的な生物学を基盤にした脳発達障害にかんする研究は困難であった。しかし、最近の萌芽的研究により、脳発達障害の発症および修復メカニズムが、徐々に解きあかされつつある。
 そうした点をふまえ、今回のシンポジウムでは、発達の臨界期(感受性期)におけるモノアミン神経系の機能とその意義を中心として、脳発達障害の生物学的理解に焦点をあてる。
 岡戸は、精神遅滞・発達障害の発症機序として、モノアミンによるシナプス形成維持機構の破綻仮説について述べる。上田は、発達早期の脳障害に対する機能補完機構としての生体モノアミンの重要性について、小頭症ラットをモデルとしたデーターを基に報告する。渡辺は、モノアミン系の主要な物質であるバイオプテリンによる自閉症の治療と、モノアミン代謝のPETによる解析結果について紹介する。瀬川は、脳発達障害におけるモノアミン系の臨床面からの解析と、環境改善による脳機能の修復機構について解説する。
 脳発達障害にたいして、臨界期から治療を開始することにより、障害を修復し、子供達を守るための試みを、このシンポジウムが本格化させるきっかけになることを期待する。

15:00〜15:30

 会長講演 「赤ちゃんから学ぶ」
埼玉医科大学小児科教授 小西行郎

 ちょうど10年前に私の大学での研究活動に大きな転換期が訪れました。それまで、 細々と画像診断で研究をしており、いくつかの論文を発表していたもののその限界を感じ ていたこともあって、大学を止める前に一度くらい外国留学をしてみたいと思ったのです。 そしてなにげなく選んだのがオランダのPrechtl教授のところだったのです。ところが留学 生活1週目で頭の中が混乱すると同時に非常な興奮状態になりました。教授から教えら れる自発運動の研究は、それまでに教わった神経学を根底から覆すようなものに思えま した。そして一日中赤ちゃんの行動をビデオ録画の再生をしながら観察し記録するうち に、自分の目で見る、それも自然のままの状態を見ることの大切さが身にしみてわかった ような気がします。
 帰国してオランダで研究したことを発表した時、始めて興味をもってくれたのが、今共同 研究をしている福島大学教育学部高谷助教授と東京大学教育学部多賀講師だったので す。この二人との出合いから本格的に発達行動学の研究がスタートしたといえます。まず はPrechtlから教わった自発運動の解析をアクトグラムの作成や、2次元、3次元の行動解 析装置をつかって行なったのです。こうしたなかでGM(general movement)がカオス的な 振る舞いをし、生後2ヶ月で大きく変化すること、さらには脳障害を受けた子どもではステ レオタイプになったり、ランダムになったりすることを明らかにしました。この研究はさらに たまたま昨年生まれた霊長類研究所のチンパンジーのこどものGMの解析にもつながっ ていったのです。
 こうした研究と同じころに始めたのがfMRIを用いた新生児乳児の脳機能の研究でした。 福井医科大学放射線科山田先生と高エネルギー研究所の定藤先生(現岡崎生理学研 究所教授)との共同研究は生後2ヶ月で視覚野の活性化のパターンが劇的に変化するこ とを始めて明らかにしたものでした。GMの研究とfMRIの研究の二つの研究から得られた のが「生後2ヶ月の革命」とわれわれが呼んでいる現象なのです。
 脳機能画像の研究は埼玉医科大学に移ってからは日立基礎研究所の小泉所長の協 力を得て光トポグラフィーを用いた研究に変わっていきました。
 赤ちゃんの行動を観察するということを始めてから私の周りが変わり始め、多賀先生や 高谷先生だけではなく、いまでは九州大学産婦人科の中野仁雄教授の胎児を研究して いるグループから、京都大学霊長類研究所のチンパンジーの行動観察グループ、日立基 礎研究所の脳の研究グループさらには福井総合病院を中心とした福井乳幼児発達研究 会にいたるまで共同研究の輪が広がっていきました。赤ちゃんは私に本当に多くのもの 学ばせてくれただけでなく、多くの仲間を与えてくれたのです。

15:30〜18:30

 シンポジウム2 「3歳児神話を検証するII -育児の現場から-」

 3歳までの子育ては母親がするべきである、とするいわゆる3歳児神話には、科学的根拠がない、という見解が厚生省からだされて久しい。男女共同参画社会を目指した政策が実現されてゆく中で、3歳児神話はすでに解決済みの問題かと思われていた。
 しかし近年、親子とくに母子の愛着関係の障害が関連していると思われる様々な子どもの問題が、増加しているという認識が高まっている。母親の側では子育て不安や子どもの虐待、子ども側ではキレやすい耐性のない子どもの増加、家庭内暴力や社会的引きこもりの増加などがそれである。近年の脳科学や認知心理学の発達は、これまで未知の部分の多かった乳幼児の行動の科学的な解明を可能にしてきた。そして、そうした「科学的」な立場から、新生児、乳児期の親子、特に母子の関係の重要性を再評価する動きもでてきている。本シンポジウムでは、そのような動きを踏まえつつ、3歳児神話を再検証する。

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